Report

ノウハウゼロからの海外進出

創業3年で売上37億円を達成 “洋菓子のスタートアップ”株式会社BAKEは 北海道から世界を目指す

ライター
佐々木正孝
カメラマン
安藤 史紘
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海外「進出」ではなく、「グローバル本社」構築がカギを握る

日本にはKPI設計・運用の実務経験を持つマネジメント人材が足りない

BAKE社に海外展開の助言を行う米国公認会計士の高田稔氏は、アーンスト・アンド・ヤング社のニューヨーク勤務で国際税務コンサルティングに従事。その後、ジュピターショップチャンネル、TSUTAYA USAなどを経て、グローバルビジネスのキャリアを重ねてきた。

ここで、日本企業が海外展開に際して抱えがちな課題、問題点を高田氏に聞いてみよう。

「日本企業が海外展開でつまずく場合、多くは視点に問題があります。海外に“進出”をねらってしまうのです。日系企業の多くは事業別の独立採算制をとっており、横串の機能軸が非常に薄い。特に海外子会社や海外M&A子会社への統制は十分に取れていないのが現状です。つまり、異国に進出拠点を作って駐在員を送り込み、現地事業部が経営――このように発想しがちです。

そうではなく、『グローバル本社から現地経営を管理する』という視点を持つことが重要です。具体的には、多国間で共有された全社的なKPIを設計。グローバルに統一されたITシステムを導入し、現地の売り場から本社までワンストップでKPIを確認していく。こうすることで、適切にPDCAを回すことができるようになるのです。

その意味では、欧米のグローバル企業では必須とされているITシステムの統一化、KPI設計がなされていないのが日本企業のウィークポイントです。実務に基づいた知見、経験を持ったマネジメント人材の少なさは、海外展開を図っていく上では大きな課題でしょう。

さらに言えば、トップの意識改革も不可欠です。海外展開に着手する際には、社長自身がグローバルCEOの視座に立つことも重要です。グローバルに見たら、日本国内のマネジメントも一つのエリアマネジメントとして再構築し、海外のマネジメントとフラットに見ていくことが欠かせないのです。

また、特にスタートアップなどの急成長企業では、社長がすべてを始めて、自分が中心となってすべてをマネージするHub and Spokes(自転車の車輪)の状態から、組織をつくり、組織の長と一緒にマネジメントをする形に早急に移行しなければなりません。

そのために、全社と部門(トップダウンとボトムアップ)、全社予算と部門予算、予算に結びついた形で部門の業務をドキュメント化し、ミッション、目標、アクションプランを作る必要があります」

高田氏の提言は、国内、海外をフラットに捉えていくBAKEの指針と合致した。
高田氏が提言する「ITシステムの統一化・KPI設計」を実現すべく、BAKEはアメリカの会計システムの一つである「Quickbooks」(Intuit社)を活用。現地の会計事務所と連携しながら、グローバルでの管理会計の統一化を進めている。

北海道発、アジア経由で全世界。BAKEの快進撃をグローバル顧問が支える

グローバル顧問・高田氏のバックアップを受けて、BAKEは海外事業に注力。スピーディーな出店攻勢をかけ、今後6〜7年の間に国内が全ブランドを含め1000店舗を目指す。

「お菓子は世界中で食べられているものですから、グローバルスタンダードと親和性が高いと考えています。。今後は、国内でブランドを育成し、海外のパートナーと連携して世界に展開していくグローバル企業を目指します。そのスキーム作りに、今後も力を入れていく所存です。たとえば、国内には『BAKE CHEESE TART』以外にもいくつかブランドがあります。それら既存ブランドの海外進出を検討しつつ、1年で2つ程度の新ブランドをローンチ。。味も、そしてデザインも一つ一つ高めて、海外でも成功できるような体制を整えていきます。世界に1000店舗を目指すことも夢ではないと思います」(三宅氏)

グローバル顧問の高田氏はアメリカでのキャリアも持つだけに、欧米への展開をねらうBAKEにも多くの示唆が得られるはずだ。スタートダッシュを成功させたチーズタルトのブレイクスルーをフィードバックすることで、展開スピードもさらに速められるだろう。製菓業界において斬新なスタートアップを見せたBAKE。洋菓子業界に新風を吹き込んだのは、たゆまぬベンチャースピリッツに他ならない。

三宅 啓司

PROFILE

三宅 啓司(みやけ ひろし)

株式会社BAKE 管理本部 部長
大学卒業後、銀行に入社し法人向け融資を担当。
2014年4月に製菓スタートアップである株式会社BAKEへ営業部長として入社。バックオフィス全般を担当しながら新規事業立上げ含む、WEBサービスに携わる。現在は管理本部部長として経理財務、経営企画、法務を統括。