Interview 

顧問派遣サービスで実現する「持たない経営」 ~専門商社 新規販路開拓編~

ライター
佐々木正孝
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本特集では、「海外ビジネスに特化した顧問派遣サービス『グローバル顧問』」をご利用頂いている企業に対し、顧問派遣サービスを利用するにあたり、どのような経営課題を持ち、どのように解決に取り組んだかについて、インタビュー・対談・取材を通じて明らかにする。

今回ご登場いただくのは、中近東、北アフリカ地域専門の商社として事業を展開をする太陽商事株式会社。90年代より、中近東、北アフリカ地域で日本メーカーの医療機器の輸出販売を行なってきた専門商社である。
代表取締役社長の中部万里子氏は、創業者が立ち上げた地域特化型の専門商社を事業承継し、自社の将来を見据え、経営課題として新規事業、新規販路の開拓を設定した。前編となる本稿では顧問派遣サービスを利用した新規販路開拓について、どのように取り組んだのか、また、その中で顧問派遣サービスが発揮した価値について、中部氏にお話を伺った。

自社で持たない機能を見極める

太陽商事は中近東・北アフリカにネットワークを持つ専門商社とのことですが、顧問派遣サービスを利用された背景について聞かせてください。

中部:先代である父が1981年に創業した当時は、ASEANを中心に工作機械、試験機の販売を行ってきました。

現在のように中近東、北アフリカ地域専門の商社として事業を展開し始めたのは90年代半ばのことです。以来、現地ディストリビュータ-を通じ、同地域の病院や医療施設に日本メーカーの医療機器を輸出販売し、お客様から信頼をいただいております。

顧問派遣サービスを導入した経緯をご説明するにあたり、まず、弊社の持つ強みについて説明する必要があります。簡単に言いますと、弊社のコア・コンピタンスは「貿易業務のナレッジ、対外交渉のノウハウ」。この強みは世界でも貿易業務が複雑で難しいと言われる中近東、北アフリカ圏とのタフな取引で培ってきたものです。

中近東・北アフリカ地域に国産メーカーの医療機器を専属で輸出している。つまり、この一帯では数少ない医療機器専門商社ということですね。

中部:今ではメーカーは商社を介在せず、現地法人を立てて直接貿易を行うのが一般的ですし、中近東・北アフリカにも現地のディストリビューター(販売店)はあります。しかし、このエリアに限っては商社の介在がいまだ必要です。メーカー側にとって様々なリスクヘッジの必要性があるからです。

それはなぜか。当該エリアは政情が不安定だからです。代金回収のリスクがありますし、国ごとに輸出入のレギュレーションは様々。さらに、精密機械を取り扱うだけに武器転用を防ぐ輸出管理なども必須です。輸出に際しては医療機器を送り出す輸送ルートの確立も難題になるでしょう。

弊社ではこのような課題に対して、地域の販社と堅実に交渉、取引を重ね、ひとつひとつ解決を図ってきました。こうして、当該地域での貿易業務ノウハウを蓄積してきたのです。さらにシリア、リビア、スーダンといった現在紛争エリアと呼ばれる地域にも安定して送れるロジスティックスがあり、それも差別化ポイントと言えるでしょう。書類作りから代金回収までそつなくこなせる一連のフローを確立したことは、当該エリアでのリスクテイクできる強みになりました。

創業者が構築した中近東アフリカへの販売網、流通網を活かし、「貿易業務のナレッジ、対外交渉のノウハウ」を積み重ねて成長してきたわけですね。

中部:はい、中近東・北アフリカに特化してきたことで事業運営は好調でした。しかし、それは裏返せばリスクにもなります。先述の通り、一帯は政情が不安定なエリアです。私は事業を承継した社長として、専門商社のメリットを享受するだけではなく、リスクヘッジとして新規事業、新規販路の開拓を行う必要性を感じていたのです。

また、太陽商事は中近東・北アフリカ圏の専門商社として評価をいただいてきた結果として、さまざまなメーカーから引き合いや問合せが増えてきていました。それらの商材にも販路をきちんと確立する必要が出てきたのですが、貿易業務を磨いてきた弊社には、販路開拓のノウハウを構築する必要がありました。

「採用」ではなく、「顧問派遣」でチームをつくる

そこで、顧問派遣サービスの活用を検討された、ということでしょうか。販路開拓にあたって営業職の採用も検討されたのでは?

中部:確かに、営業職の採用も検討しました。ただ、医療分野の営業は専門性が高く、業界知識、商習慣なども特殊です。別業界の営業では辣腕でも、そこでつちかった経験や知識がまったく活かせない場合も多々あるように感じます。販路開拓には、その業界ならではの販売網、ロジスティックスを熟知し、その土地ならではの商習慣を把握している人材を起用する必要があります。そう考えますと、新規販路開拓のために正社員採用する、という打ち手については再考の余地がありました。

そこで、様々リサーチしていく中で、シニア人材の顧問登用を検討するようになりました。当該業界にも知見があり、海外営業畑を長く経てきたシニア人材は、そのキャリアをそのまま活かして活躍することができるはず。コネクションもそうです。相対してきた交渉相手も同等のキャリア、ポストを持ったキーパーソンでしょうから、販路開拓の戦力になります。

そこで、シニア人材をどう探したらいいのかというテーマを持ってリサーチを続け、海外進出に特化した顧問派遣サービスを提供しているサイエストの「グローバル顧問」を発見しました。
最初に契約した顧問とは、医療系商社の海外事業拡販支援というプロジェクトで組むことになりました。マーケティングから販路の開拓、有力ディストリビューターとのパートナーシップを含めた顧問契約を結んだのです。

新規販路開拓の顧問ということで、求めるもののハードルはかなり高くなります。実際、顧問を活用した販路開拓ではどのような手ごたえを感じられていますか?

中部:海外進出を行う場合、まずはめぼしい進出先候補をリストアップ。その上で市場調査を行って各エリアのマーケットや景況、政治状況を鑑み、テストマーケティングしていく。そんなやり方が主流かと思われていますが、しかし、それは大企業のスタイルです。小規模で回していく弊社とは合致しないように考えています。その点、顧問のこれまでのキャリアやネットワークを活かした販路開拓では、信頼の置けるパートナーがいる国からスタートできます。地に足が付いて、効率良く進められる感触があります。

また、弊社が最初に契約した顧問は、私たちが新規展開を考える領域に営業経験をお持ちでした。そのうえ、口頭だけのアドバイスではなく、自ら動くフットワークも兼ね備えていらっしゃった。一緒に歩んでいける確信を持てたので、正社員採用を行うことなく、顧問と販路開拓を行うチーム編成に手ごたえを感じることができたのです。

顧問派遣を通して見えた、人材の選択と集中

顧問派遣サービス自体、まだ新しいサービスです。導入にあたって不安もあったと思いますが、いかがでしょうか。

中部:もともと弊社は自前主義の考え方が強い会社です。外部コンサルタントはもちろん、派遣やアルバイトも雇わず、正社員で回す少数精鋭の組織作りを行っていました。その企業文化の中での顧問登用です。外部人材の成果や責任の所在などについて、社内的な理解を得ることはなかなか高いハードルも感じていました。

顧問派遣サービスを活用した実感を申しますと、グローバル顧問より推薦頂いた候補の面談を通し、弊社の文化や考え方に合う方を見極めることができました。実務面の不安を払しょくし、役割とゴールについて事前に定義することもできました。これは成果の管理や責任の所在の共有につながります。

外部人材の活用に初めて取り組んだことの収穫もあります。正社員と顧問に求めることの違い、組織運営の考え方についても認識を新たにできました。

顧問派遣サービスの活用により、外部人材と正社員の業務範囲には何か変化がありましたか。

中部:正社員と顧問の立ち位置は明らかに違います。顧問は役割が明確で、自分の強みをテーブルに出していきます。その時点で最適なプロジェクトチームをどう作るかに集中し、やりきることができます。フェーズが変わったら、別のプロジェクトチームを最適な顧問、人材と編成していけばいい。まさにアメーバ型組織のあり方です。

こうして、市場やビジネスシーンの変化に応じてプロジェクトが適宜動く流れができます。この実感を得られたことは、有機的な組織運営に直結しました。

繰り返しになりますが、弊社のコアは「貿易業務のナレッジ、対外交渉のノウハウ」です。どんな商材がきても高いレベルで貿易業務を続けられるのが正社員です。その強みは絶対に外せないと考えています。
新たなビジネスの種を見つけたとしても、私たちが商社であり続ける限り、それは必ず貿易の業務プロセスに落としこむものでなければなりません。そうでなければ、新たなビジネスが弊社を通る意味があるものか、分からなくなってしまいます。外部の顧問には「業界とエリア事情に詳しいこと」「弊社の専門外の知識について知見のある人材」を求める。 一方、社員にはあくまで貿易業務のプロフェッショナルであることを求めます。

フェーズごとに最適な人材を確保できる。それが顧問登用のメリットだったということですね。ありがとうございました。インタビュー後編では、顧問派遣サービスを新規事業開発に活用された背景を伺っていきたいと思います。

中部万里子

PROFILE

中部万里子(なかべまりこ)

大学卒業後、株式会社リクルートHRマーケティングに入社。HR営業のキャリアを積み、株式会社リクルートへ出向。事業開発室で医療、介護の事業立ち上げに携わる。2009年に株式会社太陽商事に入社。先代の父から事業を引き継ぎ、2014年に代表取締役社長に就任。グローバル顧問の導入、新規事業の展開などを意欲的に手がけ、先代が築いた事業を基盤としてさらなる飛躍を目指す。

上場企業役員OB、グローバル企業のエグゼクティブ出身の
グローバルビジネスのエキスパートが、
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