Interview 

生涯現役のキャリアプラン

年金受給額を42%増やすための「定年後起業」という選択

ライター
佐々木正孝
カメラマン
安藤 史紘
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定年後の起業が絶対におすすめできる理由とは

大江氏が挙げた、定年後のキャリア3択は「再雇用」「転職」「起業」。最もお勧めするのが、一見ハードルが高そうな「起業」だ。しかし、シニア層の起業は年々増えてきているのは確かだ。

「中小企業白書(2014年)」によると、起業家の年齢構成で最も多いのが60歳以上で32.4%。30年前(1982年)の8.1%から4倍増という数字を見ると、シニア層の起業熱が高まっているのは確かなようだ。では、定年後起業のメリットはどこにあるのか。

「最大のメリットは不安も不満もないことです。会社員時代はやりたいことができないし、裁量権も少ないから『不満』が溜まります。かといって、自営業のように独力のみで仕事をしていく上では『不安』がぬぐえません。40歳での起業は自営業と同じですね。不満はないけど不安がある、になるでしょう。

しかし、定年退職後は多くの方が退職金をもらっているでしょうし、公的年金の支給も控えている。仮に起業がうまくいかなかったとしても、食べていくにはどうにかなるのではないでしょうか。私自身、事務所を立ち上げてから半年ほどはまったく仕事がなかった。確かに少々の不安はありましたよ。ただ、起業に失敗しても借入さえしていなければ生活、老後に影響をもたらすものではありません。嫌なことはせず、好きなことに集中して、ダメだったら潔く辞めればいい。そのように割り切れたのです」

大江氏が語る“何とか食べていける”というバックグラウンドこそが、定年後のシニア起業における最大のアドバンテージになる。肩の力を抜き、ニュートラルな状態で好きなことを仕事にしていく。生涯現役キャリアを志向しつつ、穏やかな心持でビジネスにチャレンジしていく――それが定年起業の理想的なありようなのかもしれない。
 後編では、「定年後の仕事の作り方」をテーマとして、生涯現役キャリアを成功に導くための具体論を、存分に大江氏に語ってもらった。引き続き注目していただきたい。

大江英樹

PROFILE

大江英樹(おおえひでき)

会社員時代は野村証券で個人の資産運用や確定拠出年金加入者の投資教育に携わる。
同社を退職後。2012年にオフィス・リベルタスを設立。
シニアのセカンドライフ、マネーライフについて執筆、講演活動などを行っている。著書『定年楽園』(きんざい)も好評。