Interview 

最後のフロンティア・ミャンマーを狙え!〜小売・流通コンサルタント程嶋幸男氏インタビュー

ライター
早野龍輝
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最後の秘境といわれる国、ミャンマー。農業・工業ともに発展途上で、各種インフラや制度もほとんど進んでいない。だからこそ、無限のチャンスが広がっていると主張するのが、長年ミャンマーと日本を貿易業で行き来する程嶋幸男顧問だ。今回は程嶋氏とミャンマーの可能性について探る。

まず現在のご活動についてお聞かせください。

現在は自分で会社を持っています。ミャンマーおよび東南アジアの、主に食品を輸入する専門商社です。長年やっていた関係で逆ルートで日本のモノをミャンマーに輸出したりもしています。
また、ある飲料会社のアドバイザーと、ミャンマーに進出している食品メーカーの進出アドバイザーを担当しています。現地との連絡、現地の政府とのコネクション作り、また、向こうでビジネスをするパートナー探しなど、多岐にわたって海外専門の顧問契約を結んでおります。

また別の会社では顧問業も行なっています。医薬品や医療機器をミャンマーに売る日本の会社の顧問ですね。現地で、政府や民間で需要のあるところを私が見つけてきて、ご紹介して繋いでいます。
また、貿易会社をやっていた関係上、色々なところにコネがあります。現在やっているのは台湾シノンという、肥料、飼料、農薬の製造メーカーとして世界的に大きい企業です。南米から北米、ヨーロッパまで支店があるんですけれども、そこがミャンマーに進出するということでアドバイザーを担当しています。

ミャンマーの可能性はどこにあるか?

僕が何故ミャンマーがいいかというと理由は二つあるんです。
一つは面積の広さと人口の多さ。人口=経済パワーですよね。平均年齢は27.9歳(2015年)。間違いなくこれから活性化します。面積も相当広く、半分山で半分平地なんですよ。
そうすると、色んなビジネスがありますよね。
例えば北部に行くと、世界一高級とされるチーク材があります。材木業者に言わせると、「ミャンマーのチークが使えるわけないだろう」と言われるくらい高級品で、残念ながら日本では高すぎて買えないんです。みんなヨーロッパ、とくにイタリアに輸出されたり、高級なヨットの内装に使ったりするんですね。

他にも、ルビーや翡翠も世界一。中国人も台湾人もオークションでミャンマー産の宝石となるとみんな目の色を変えて買うんです。
ミャンマーには、そういう高級材がものすごく沢山ある。ですから土地と人口と資源の面においては、ラオスやカンボジアに比べて図抜けてパワーがあります。そういうところに僕は将来性を感じます。
それと一つは非常に紳士的であるということ。他の東南アジア諸国と比べ、ミャンマーは東南アジア随一、いや世界でも随一の親日国家です。現地の人の留学先も、現在でこそ一位はアメリカになりましたけど、その前はずっと日本だったんですよね。

なぜ、進出は難しいのか?

これほど可能性があるミャンマーですが、進出するためには色んな条件があって、向こうの法整備の問題や人々の考え方とうまくいかないとなかなか難しいところもあるとは思います。
法整備はこれからです。法律のほうを無理矢理合わせてしまう方法もあるのですが、「一緒に法整備を作っていこうよ」といった体制でいける部分もあるのでやりやすいとも言えます。
国民性として、女性はとにかく働き者で、男性はあまり働きません。女の人がみんなすごく根気強く、一つのことをずっと続けられる。そのため、縫製業など手先を使う作業が向いているんです。

外国投資法に注意せよ!

海外進出を検討するために留意しなければならないのが、外国投資法です。これは、外国から参入する企業は外国投資法に基づいて会社を現地に作らなければならないという法律です。
規定金額が時期によって変更されるのですが、現在は一般的な会社は最低資本金で5万ドル、それから工場など大きなものは15万ドルという規定があるんです。この金額は今後も動く可能性があります。
その外国投資法によって会社を作れば、日本人でも社長になれます。
また、向こうと合弁して会社を作った場合も外国投資法でやれば日本人が社長になれます。

これを外国投資法ではなく向こうの法律で合弁をやると、日本人は役員にもなれません。
かつて外国投資法がない時代には、日本人が10万ドル出してもその出資の証拠がどこにも証拠が残りませんでした。
ミャンマー人に、「名義上10万ドル渡すからこれで仕事をするんだ、権限は全部俺にあるからな、俺が経営者だからな」と言い聞かせてお互い納得ずくでやったとしても、結果的に騙される日本人もいました。法律で保護されていない口約束ですから、役員になれる権限はないからです。

外国投資法ができてからは、そういったことがなくなりました。
しかもこれは都合がいいことに、100%日本の資本というのが可能です。
たとえば他の国だと、日本は49%だけで、51%は相手国側の合弁でなければ認めないというのが多いですよね。ミャンマーの場合はそうではなくて、100%日本の資本でやっていいんですよ。そういうところは非常にいいです。

そこには当然ながら、ミャンマー投資委員会(MIC)という委員会があります。そこに登録して、会社の許認可を受けます。それを受けた時点で、その許可をもって登記所に行くのですね。
現在私が関わっているプロジェクトで、大規模ソ−ラーシステムの会社が発電所を作ろうという話があるのですが、発電業は許認可が要らないため外国投資法で作ってしまおうとしています。政府と話して、ミャンマーに発電所を一個寄付するからと言えば済んでしまう話ですね。

程嶋様のこれまでのご経歴についてお伺いします。社会人最初の方のお仕事は貿易関係のお仕事ですか?

実家がハムのメーカーと肉の卸問屋をやっていまして、元々最後はそこへ戻るつもりでいました。大学卒業しばらくは不動産管理の仕事をしていたら、経理の勉強をしろと言われて、短い期間簿記学校に勉強にいっていました。
卒業後、自分の実家の肉問屋を手伝いましたが、そのうちに親戚の伝手で会計事務所で働くことになり、10年ほど勤めました。
うちはハムメーカーなのですが、デパートに直売所を8店舗持っていたんです。そこを本社から切り離して独立した販売会社にすることになり、高島屋や大丸などにあった8店舗を全部引き受けて、動かしていましたね。
ハムや加工品を売るかたわら、それだけでは面白くないので、自らビジネスにチャレンジしていました。

例えばカナダからスモークサーモンを仕入れてきて、それをサラダにして売る。デパートですから、スモークサーモンと野菜のマリネが飛ぶように売れて、ぼろ儲け。大ヒットして利益がどんどん増えていきましたね。
その事業が落ち着いてからは弟を取締役にし、貿易業を始めたんです。ミャンマーの水産物を仕入れたり、中国から買ったり、カナダのズワイガニを買ったりということを始めました。
この時点から肉ではなく水産の輸入になったのですが、肉を辞めた理由として、肉はもう儲からなくなってきたということがありました。かつて肉は高級品だったことに比べて現在は、輸入品も入って来るため、価値がないんですね。反対に、魚は昔と違ってそんなに穫れなくなってきた。
だから肉と魚のビジネスも逆転していて、水産のほうが面白いということもあって、ホフマンインターナショナルという会社を作りました。
そこでは、中華食材とか色んな食材を扱っていたんですけど、あるときにもうミャンマーに特化した何種類かの商材でやろうということになったときに事業整理の必要があり、現在のボントロトレーディングを設立したんです。

ミャンマーで10年かけて見つけた食材へのこだわり

現在のような円安になる前は、本当に良い商品だけを数種類扱っていました。
干しえびってご存知ですか? うちの干しえびが日本で一番良いと僕はいまだに自負しているんです。
干しえびは料理に使うと、出汁が出るんです。干し椎茸、干し貝柱、干しえび、この三つは最高級の出汁のもとです。
その干しえびを、僕はミャンマーで10年間探したんですよ。それで見つけたんです。最高の干しえびを。
エビは普通ピンクでしょ? ところがもうそれは、みんな白いんです。
ゴールデンピンクという品種の天然のえびを見つけたんです。見つけたときから、ミャンマーに特化しようと決めたくらい大きな発見でした。

他にはイカ飯ですね。
ミャンマーは米がたくさん穫れるのですが、米には米関税がかかるんですね。
しかしそれには特例があって、ご飯がその商品の半分だったら関税が無しになるんです。
一方、イカにもサイズの枠があり、その枠から外れると仕入れできないんですが、ご飯を入れるとその枠が外れるんです。
つまり、ご飯をイカの半分にすれば、両方の制限から外れて、自由に輸出できるわけです。これに気づいた途端、ある有名メーカーに教えて、コンビニで売りまくったんですね。

そんなことで、ミャンマーに特化した原因にはいくつかそういう面白いものがありました。
他にも、エビやカニで、うちでしか買えないオリジナル商品をいくつか開発しましたね。
ただ近年では全てが円安で採算が合わなくなったため、コンサルティングやアドバイザーを何社かやるようになっています。
こういった経験をしておりますので、たいていのことはできます。
例えば缶詰を作れと言われても作れないですが、缶詰工場を作りたい人のために立地の選定政府との交渉等はできます。

もし相談があれば、やりたいビジネスと中身をお伝えください。会社を作りたいのか、それとも作った会社を向こうで運営するのか。
その辺が分かれば一応の答えは出せます。できないことはできませんけれども、ある程度のことは分かっていますから、私も現場でやってきておりますから、是非お力になれればと思いますね。(了)

程嶋幸男

PROFILE

程嶋幸男(ほどしまゆきお)

ミャンマー進出支援の専門家として、ミャンマーの水産業、財閥へのチャネルに精通。15年間にわたり、食品の小売り、水産品の輸入業を経験。海外(特にミャンマー)からの水産物輸入の経験が長く、当地からの輸入、現地法人設立などについてのコンサルティングを行なう。
税理士、社会保険労務士事務所、食品卸、小売り会社取締役、食品雑貨の輸出入業、建設会社海外進出顧問(ミャンマー)、貿易会社ミャンマー担当顧問を経験。
また、税理士業務の経験も豊富で、法人、個人の税務申告。法人の社会保険、労働保険手続き全般にも通じている。